先日友人のIさんとメッセージのやり取りをしていました。
Iさんは私の前前職の同僚。
今は雑誌の編集長をされている、センスのいい方。
ある用事があってメールを貰ったのですが、
最後にふとこんなメッセージをいただきました。
「いつぞや作った名刺入れ 今は息子の宝物のポケモンカード入れとして活躍しています」
え!!!私と作った名刺入れ?
いつぞやってもしかして11年前! そういえば一緒に作ったなあ!
と、一瞬驚き、11年前のことを思い出しました。
(写真は当時のブログより)
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振り返るは2013年11月。
私は11年前は愛知県に住んでいました。
まだ、NUEAY(ぬい)というブランドを始める前。
週末に革工芸を習いに行っている生徒でした。
ところで、私の旧姓は中野と言います。
それを使って「nakanospace(なかのスペース)」として、
革の制作の open dayのようなことをしていました。
月に1度の土日、約1年ぐらいやりました。
場所は空いていた区の施設の一角で。
広くは無いけど、開放感のある空間でした。
nakano spaceは、告知もろくにせず、机の端に小さな看板を置き、
革の作品の制作をのんびりやっていました。
「ここが私のお客さんとやりとりのできるスペース!」
とか、
「作ったものを見ていただきたい!」
とかのコンセプトもほぼ無し。
興味を持ってくださったら、お話しできたらいいなあ、くらいは思っていました。
自宅に置いてある革の道具を一式よいしょと持って行って、
その場所で広げて、ただ今日の私の制作をしているだけ。
展示も販売もしていませんでした。
(今考えると非常に勇気のいることだけど、その当時はそのように思っていなかったです)
でも不思議なことに通りすがりの方が
「何をやっているんですか」
と声をかけてくださるのです。
私は答えました。
「私、革工芸をしていて、今お財布を作っているんです。私が革を染めて縫って作っているんです。」
お伝えし、私物をお見せすると、お客さんはいいました。
「へえ、作れるんですか? 頼めるんですか?
丁度今お財布が壊れてしまって、頼めますか?」
このように、その場でオーダーを受けるということも、たくさんありました。
お財布や、名刺ケースや、コインケース・・いくつか作りました。
そのうち、それを知った方や職場の仲間から、
「自分のものを何か作りたい、体験教室をやってほしい」とリクエストをいただき、
その日のうちにできるものを考え、このスペースで作るようになりました。
メニューはなく、お客さんの「これ作れるかな?」 を一緒に作っていくような時間でした。
その時に、Iさんは来てくださいました。
Iさんは染色なしのナチュラルの名刺入れを作ったのでした。
自由な体験教室といっても、やはり時間は限られていました。
マチがある名刺入れは頑張りメニューのひとつ。マチを合わせるところがちょっと難しいのです。
でも、Iさんは普段使いしたいといって、作ったんだった。
先日のIさんからのメッセージで、色々思い出しました。
私は11年の間に生活がグッと変わりました。
Iさんもきっと11年の間に、色々あったことでしょう。
でもその間も持っていてくださって、今Iさんの小さな息子さんが使っている、と聞いた時
とっても嬉しかった〜!
嬉しいのと、驚いたので、「息子が使ってるよ」のメッセージを見て、目を丸くしてしまいました。
体験教室で作るような、気軽な名刺入れだったから、良かったのかな。
「革はいいねえ、ずっと使えるね」
と、Iさんは私にメッセージをくれましたが、
私は''親から子どもに受け継いで使ってもらう''なんて理想すぎると思っていました。
でもそんな使い方をIさんは既にしてくれていたのです。
たとえそれが遊びの道具のひとつとなっても、使ってくれていることが嬉しいな〜!
そしてこんな話がたまにご褒美のように聞けることも、作ることと同じくらい嬉しいのです。
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